美瑛小麦のひと / 株式会社ル・スティル 代表取締役 西川 隆博さん

美瑛小麦のひと / 株式会社ル・スティル 代表取締役 西川 隆博さん

美瑛小麦をつかう人 / 株式会社ル・スティル 代表取締役 西川 隆博さん


2003年渋谷にVIRONを出店してから6年目のタイミングで、パンや菓子に使用する牛乳のために放牧酪農をしたいと考え、北海道で場所を探していました。その頃から美瑛町は小麦をしっかり作っている印象で、もちろん景観の美しさも決め手となり、美瑛放牧酪農場が誕生しました。土地の手配などでJAびえいにはお世話になりましたので組合員にもなり、まずはしっかり酪農をやろうということで取り組みました。

2010年に「おもしろい小麦の品種があり、試しに育てているので見学しませんか?」とお誘いを受け、見させてもらったのが「ゆめちから」です。そのタンパク質含量の高さは、本当にパンにとって夢のような日本の小麦ができたと衝撃を受け、そこからのめり込むように注目してきました。その後、2013年に銀座で「CENTRE THE BAKERY」を出店し、美瑛小麦も美瑛放牧酪農場の牛乳も使用しています。

日本の小麦が変わってきたというのは、実はこの10年なのです。それまでは日本の小麦は、主にうどん用の小麦が多く、パン用は量も少ない、価格も高い、そして品質も安定しませんでした。「きたほなみ」や「ゆめちから」の誕生により、おいしいパンを作れる小麦は大きく前進したと思います。

美瑛町ではその後、JAびえいが運営する美瑛選果と関わりが深く、新千歳空港店では「びえいのコーンぱん」「びえいのまめぱん」の企画とオペレーション、美瑛本店の小麦工房では「びえいラスク」やパンもつくっています。今後も新しい価値を生み出してお客様に喜んでいただくために、私たち二次加工を担当する職人は、小麦を育てる農家さん、それを製粉する製粉会社とともに、ものづくりをすることが大切です。食べものは口に入れたら、すぐにその人の反応がわかるもの。多くの方がおいしいと思えるように「おいしさの最大化」を地域一体となって、更に進めていければと考えています。


美瑛放牧酪農場
北海道上川郡美瑛町字新星平和5235
https://biei-farm.co.jp/